ロココのAutomagica買収 3.4億円で70.03%を取得した生成AI受託開発会社の業績・倍率・買収後の動き【2026年11月】
更新日:著者:AITECH編集局

監修:株式会社AITECH CEO
監修:株式会社AITECH
営業利益が数百万円の生成AIの受託開発会社は、いくらで買収されるのでしょうか。東証スタンダード上場のロココは2025年12月12日、Automagicaの株式の70.03%を3.4億円で取得すると発表しました。
Automagicaの直近の通期の2024年12月期は、売上高1.1億円、営業利益340万円です。取得価額を100%に換算した株式価値は約4.9億円で、この通期の売上高の約4.5倍にあたります。
この記事では、2024年に生成AIの受託開発を始めた会社がどの条件で売却されたかと、AI受託で独立する人が自分の事業に取り入れられる点が、開示資料から分かります。事実の出典は、ロココの適時開示・有価証券報告書・決算短信・決算補足説明資料と、Automagicaの公式サイト・プレスリリースです(2026年11月5日確認)。ほかの事例はAI受託のM&A事例22件の記事にあります。
この記事の結論
- ロココのAutomagica買収とは:ロココが、Automagicaの株式の70.03%を3.4億円で取得し、連結子会社にした取引(2025年12月12日公表・12月24日取得完了)
- Automagicaの業績:2024年12月期は売上高1.1億円(前の期の約8倍)、営業利益340万円(利益率3.1%)
- 取得価額の倍率:100%換算の株式価値は約4.9億円で、2024年12月期の売上高の約4.5倍(営業利益の約143倍は分母が小さく比較に使えない)
- 買収後の動き:Automagica単独の業績は非開示。のれん3.56億円を5年で償却。残りの29.97%は2028年に取得することを想定
- 独立する人が参考にできる点:自社のサービス、実績の公開、買い手の業務に当てはまる領域、月次の数字の締め、一部を残す売却の形
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ロココによるAutomagica買収の概要
ロココによるAutomagica買収とは、ロココがAutomagicaの株式の70.03%を3.4億円で取得し、連結子会社にした取引です。ロココの発表によると、株式の取得は2025年12月24日に完了しています。
| 買い手 | 株式会社ロココ(東証スタンダード 5868) |
|---|---|
| 対象会社 | 株式会社Automagica(2021年1月設立) |
| 公表日 | 2025年12月12日(株式譲渡契約の締結)。取締役会の決議は2025年11月14日 |
| 取得割合 | 70.03%(443,925株) |
| 取得価額 | 3.4億円(341,822千円・現金) |
| 株式の取得日 | 2025年12月24日(取得完了の適時開示・有価証券報告書) |
| 残りの株式 | 経営陣が保有する29.97%は、2年経過後の2028年に取得することを想定 |
ロココは、企業向けのITアウトソーシングとBPO(業務の外部委託)、顔認証システムを使ったイベントの入場・抽選・配席のサービス、勤怠管理システム「RocoTime」の開発・販売、システムの受託開発を手がける会社です。公表の前の期にあたる2024年12月期の売上高は78.0億円、営業利益は4.3億円でした。取得価額3.4億円は、ロココの2024年12月期の営業利益の約0.8倍にあたります(3.42億円÷4.26億円)。
ロココの適時開示には「本件は適時開示基準には該当しませんが、有用な情報と判断して任意開示を行うもの」と書かれています。出典はロココの適時開示(2025年12月12日・p1〜3)、ロココの適時開示(2025年12月24日)、ロココの2025年12月期 決算短信(p1)です(2026年11月5日確認)。
Automagicaの会社概要と事業
Automagicaは、2021年1月に設立された、生成AIを使ったアプリ・システムの受託開発と、バックオフィス向けのAIエージェント「カリスマAI」の提供を行う会社です。ロココの適時開示は、同社を「⽣成AI関連アプリ・システム開発のプロ集団」と説明しています。
株式会社Automagica

| 会社名(設立) | 株式会社Automagica(2021年1月21日) |
|---|---|
| 本社 | 東京都目黒区下目黒 |
| 代表者 | 代表取締役 堀 勝通 |
| 事業内容 | バックオフィスAIエージェント「カリスマAI」の開発・提供、生成AI関連アプリ・システム開発、生成AI導入・開発コンサルティング、生成AI活用研修(公式サイト) |
| 資本金 | 0.2億円(23,057千円・2025年12月12日の適時開示と2025年12月期の有価証券報告書)。公式サイトは「45,115,379円(資本準備金を含む)」と記載(2026年11月5日確認) |
| 主要株主 | 株式会社ロココ、堀 勝通氏、田中 智大氏、前田 晃佑氏(公式サイト・2026年11月5日確認) |
| 沿革(公式サイト) | 2021年1月 lilo株式会社として設立、2024年2月 生成AI受託開発事業を開始、2024年9月 株式会社Automagicaに社名変更、2025年12月 ロココにグループイン、2026年6月 バックオフィスAIエージェント「カリスマAI」をリリース |
取得の前の大株主は、代表取締役の堀 勝通氏(59.02%)、取締役COOの田中 智大氏(15.85%)、ANOBAKA GAI1号投資事業有限責任組合(5.68%)などです。公式サイトは、同社を、バックオフィスAIエージェント「カリスマAI」を提供し、業種・業界を問わず生成AIを使った業務自動化とアプリ・システム開発も行うエンジニア集団と説明しています。
出典はAutomagica 公式サイト、会社情報、ロココの適時開示(p1〜2)です(2026年11月5日確認)。
Automagicaが提供しているサービス
Automagicaの公式サイトは、現在のサービスとして次の3つを挙げています(2026年11月5日確認)。
| サービス | 内容(Automagicaの公式サイト) |
|---|---|
| カリスマAI(バックオフィスAIエージェント) | 人事・情シス・総務・経理・法務への社内の問い合わせにAIが回答し、申請・手続きの処理まで行う。Teams・Slack・LINE WORKSなど社員が使っている環境で利用する |
| 生成AI受託開発 | 生成AIを使った業務自動化と、アプリ・システムの開発 |
| 生成AIコンサルティング・研修 | 生成AIの導入・開発のコンサルティングと、活用の研修 |
バックオフィスAIエージェントの「カリスマAI」は、AIが回答する回数で料金が決まる月額制で、公式サイトの沿革ではリリースは2026年6月です。公式サイトの料金は次のとおりです(税の扱いの記載なし・初期費用0円・2026年11月5日確認)。
| プラン(目安の社員数) | 月額(AIの回答の回数) |
|---|---|
| フリー | 0円(月50回) |
| ライト(〜200名) | 5万円(月300回) |
| スタンダード(〜500名) | 15万円(月1,000回) |
| プレミアム(〜1,000名) | 30万円(月2,500回) |
| エンタープライズ(1,000名以上) | 要見積(月2,500回〜) |
公式サイトの実績インタビューには、伊藤忠テクノソリューションズとの音声AIの開発、日本通運のAI-OCRを使った出荷業務の自動化、教育機関のSNSの開発、経営者団体向けの研修など、7件が掲載されています。2025年12月12日のプレスリリースでは、人材紹介会社向けのAIエージェント「CAコパイロット」のリリースにも触れています。
Automagicaが生成AIの受託開発を始めたのは、取得の公表の約1年10か月前の2024年2月です。月額0円から30万円の料金を公開したバックオフィスAIエージェントのリリースは、取得後の2026年6月です。
出典はカリスマAI(バックオフィスAIエージェント)、実績インタビュー、Automagicaのプレスリリース(2025年12月12日・PR TIMES)です(2026年11月5日確認)。
買収前のAutomagicaの業績
Automagicaの2024年12月期の売上高は1.1億円で、前の期の約8倍です。営業利益は340万円で、営業利益率は3.1%です。2023年12月期は、営業損失0.2億円でした。
ロココの適時開示に記載された、直近3期の経営成績と財政状態です。
| 項目 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期(10月末時点) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 0.1億円 | 1.1億円 | 2.1億円 |
| 営業利益 | ▲0.2億円 | 340万円 | 0.1億円 |
| 当期純利益 | ▲0.2億円 | 720万円 | 920万円 |
| 純資産 | 650万円 | 0.1億円 | 0.3億円 |
| 総資産 | 0.3億円 | 0.5億円 | 1.4億円 |
開示資料の金額は千円単位です。2024年12月期は売上高108,844千円、営業利益3,422千円、純資産14,058千円です。2025年12月期は10月末時点の数字で、売上高207,813千円、営業利益10,099千円です。適時開示の注記は、これらの数字が会計監査を受けていないこと、2025年12月期の数字は10月末時点で通期の見込みは変わる可能性があることを記載しています。出典はロココの適時開示(p2)です(2026年11月5日確認)。
開示された数字から計算した利益率と自己資本比率です。営業利益率=営業利益÷売上高、自己資本比率=純資産÷総資産です。
| 指標 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期(10月末時点) |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | ▲169.0% | 3.1% | 4.9% |
| 自己資本比率 | 25.3% | 29.2% | 23.8% |
取得の前後で開示された業績の数字
Automagicaの2025年の業績は、2つの資料に次のとおり記載されています。適時開示の数字は2025年10月末時点、有価証券報告書の概算額は2025年1〜12月の1年分です。2つの数字の差の内訳は開示されていません。
| 資料(日付) | 記載 |
|---|---|
| ロココの適時開示(2025年12月12日) | 2025年12月期(10月末時点):売上高207,813千円、営業利益10,099千円、純資産33,892千円。会計監査を受けていない数値 |
| ロココの有価証券報告書(2025年12月期・2026年3月25日提出) | 企業結合が2025年1月1日に完了したと仮定した場合の、ロココの連結損益計算書への影響の概算額:売上高215,337千円、営業損失108,847千円。監査証明を受けていない注記 |
| ロココの有価証券報告書(同) | 企業結合日に受け入れた資産96,565千円、引き受けた負債111,034千円 |
Automagicaの売上高は、2023年12月期の0.1億円から2024年12月期の1.1億円に伸びています。2024年12月期の営業利益率は3.1%で、利益の水準はまだ小さい段階での売却です。
出典はロココの適時開示(p2)、ロココの有価証券報告書(2025年12月期・p96〜97)です(2026年11月5日確認)。
取得価額から計算した倍率
取得価額3.4億円を70.03%で割った100%換算の株式価値は約4.9億円で、2024年12月期の売上高の約4.5倍です。営業利益に対する倍率は約143倍ですが、分母の営業利益が342万円と非常に小さいため、この倍率はほかの買収との比較には使えません。
100%換算の株式価値とは、取得した割合に払った金額から、会社の株式全体の値段を計算したものです。直近の通期の2024年12月期の数字で計算した倍率は次のとおりです。
| 指標 | 計算式 | 結果 |
|---|---|---|
| 100%換算の株式価値 | 3.42億円÷70.03% | 約4.9億円 |
| 対売上高(2024年12月期) | 4.88億円÷1.09億円 | 約4.5倍 |
| 対営業利益(2024年12月期) | 4.88億円÷342万円 | 約143倍(分母が小さく比較に使えない) |
| 対純資産(2024年12月期末) | 4.88億円÷0.14億円 | 約35倍 |
2025年12月期の開示は10月末時点の数字で、通期の数字ではありません。100%換算の値は株式の価値で、負債や現預金を調整した企業価値ではありません。残りの29.97%の取得の価格は開示されていません。
出典はロココの適時開示(p1〜3)です(2026年11月5日確認)。
LangCore・Almondo・Wanderlust・Acrosstudioの買収との比較
AIの受託開発・コンサルの会社の買収で、取得価額と対象会社の業績が開示された事例のうち、LangCore・Almondo・Wanderlust・Acrosstudioの4件と比べると、次のとおりです。倍率の分母は、各社の直近の通期の数字です。
| 対象会社(買い手) | 対売上高 | 対営業利益 |
|---|---|---|
| Automagica(ロココ) | 約4.5倍 | 約143倍(分母が小さく比較に使えない) |
| LangCore(AVILEN) | 算出せず(通期の開示なし) | 算出せず(通期の開示なし) |
| Almondo(テンダ) | 約4.6倍 | 約20倍 |
| Wanderlust(AI inside) | 約4.1倍 | 約32倍 |
| Acrosstudio(ココナラ) | 1.5倍 | 約37倍 |
| 対象会社(公表日) | 100%換算(取得割合) | 分母の期間(営業利益率) |
|---|---|---|
| Automagica(2025年12月12日) | 約4.9億円(70.03%) | 2024年12月期(3.1%) |
| LangCore(2024年10月11日) | 4.0億円(100%) | 2024年6月の半期実績(62.3%) |
| Almondo(2024年12月19日) | 10.0億円(51%) | 2024年9月期(23.1%) |
| Wanderlust(2026年9月30日) | 10.0億円(70.0%) | 2026年3月期(12.9%) |
| Acrosstudio(2026年10月7日) | 17.0億円(51%) | 2026年6月期(4.1%) |
LangCoreの数字は半期実績のため、売上高と営業利益に対する倍率はほかの4件と比べられません。設立から公表までの期間は、Automagicaが約4年11か月(生成AIの受託開発の開始からは約1年10か月)、LangCoreが約1年4か月、Almondoが約1年10か月、Wanderlustが約3年8か月、Acrosstudioが約5年3か月です。Automagicaの分母の2024年12月期は、公表の約1年前に終わった期です。出典は各社の適時開示で、ほかの4件の計算の詳細はAVILENのLangCore買収、テンダのAlmondo買収、AI insideのWanderlust買収、ココナラのAcrosstudio買収の記事にあります。
2026年3月に公表されたフーバーブレインのProofX買収(51.0%を3.1億円で取得)は、フーバーブレインのProofX買収の解説にあります。
Automagicaの売上高に対する倍率(約4.5倍)は、Almondo(約4.6倍)・Wanderlust(約4.1倍)に近い水準です。営業利益率は3.1%と5件で最も低く、営業利益に対する倍率(約143倍)は分母が非常に小さいため、ほかの4件とは比べられません。
70.03%の取得と取引の条件
ロココは、Automagicaの株式の70.03%(443,925株)を現金3.4億円で取得し、残りの29.97%は2028年に取得することを想定しています。
| 取得前の保有 | 0株(0%) |
|---|---|
| 取得した株式 | 443,925株(議決権の70.03%) |
| 取得価額 | 3.4億円(341,822千円・現金) |
| 取得関連費用 | アドバイザリーに対する報酬等 0.3億円(31,000千円・有価証券報告書) |
| 取得前の大株主 | 堀 勝通氏 59.02%、田中 智大氏 15.85%、ANOBAKA GAI1号投資事業有限責任組合 5.68%、前田 晃佑氏 4.00% ほか |
| 残りの株式 | 「残りの経営陣が保有する29.97%は2年経過後の2028年に取得することを想定」(適時開示) |
| 連結の開始 | 2025年12月31日(みなし取得日)。2025年12月期の連結は貸借対照表のみ |
株式の取得の相手先と、取引の日程は、資料ごとに次のとおり記載されています。
| 資料(日付) | 記載 |
|---|---|
| ロココの適時開示(2025年12月12日) | 取締役会決議日 2025年11月14日、契約締結日 2025年12月12日、株式譲渡実行日 2025年12月24日(予定)。株式取得の相手先の概要は、堀 勝通氏 |
| Automagicaのプレスリリース(2025年12月12日) | 「当社株主と株式会社ロココ(中略)との間で当社株式の譲渡契約が締結され」 |
| Automagicaの公式サイトのニュース(2025年12月17日) | プレスリリースと同じ文で、ロココへのグループインを告知 |
| ロココの適時開示(2025年12月24日) | 2025年12月24日に70.03%の取得が完了 |
| ロココの有価証券報告書(2025年12月期・2026年3月25日提出) | 2025年12月24日付で株式を取得。企業結合日 2025年12月31日(みなし取得日) |
みなし取得日とは、連結決算に含め始める区切りの日として決める日です。2025年12月31日をみなし取得日にしたため、ロココの2025年12月期の損益には、Automagicaの業績は含まれていません。ロココの2025年12月期の決算補足説明資料は、貸借対照表の変化として「AutomagicaのM&Aによる『のれん』および長期借入金の増加」を挙げています。
のれんの金額と償却
のれんとは、買収で払った金額のうち、買収した会社の純資産を上回る部分です。ロココは、Automagicaの取得で発生したのれんを5年間で均等に償却します。
| 発生したのれん | 3.56億円(356,291千円)。取得原価の配分が完了していない暫定の金額 |
|---|---|
| 発生の原因 | 「主として当社事業とのシナジー効果によって期待される超過収益力」 |
| 償却の期間 | 5年間(年0.7億円) |
| 取得のための支出(純額) | 2.9億円(取得価額341,822千円から、Automagicaの現金及び現金同等物50,001千円を差し引いた291,820千円) |
企業結合日に受け入れた資産は0.97億円、引き受けた負債は1.11億円で、負債が資産を0.1億円上回っています。そのため、のれん3.56億円は、取得価額3.42億円を上回る金額になっています。年0.7億円は、のれん356,291千円を5年で割った計算です。
Automagicaの取得では、取得価額3.4億円に対して、のれんが3.56億円計上されています。ロココは、こののれんを5年間、年約0.7億円ずつ費用にします。
出典はロココの適時開示(2025年12月12日・p1〜3)、ロココの適時開示(2025年12月24日)、Automagicaのプレスリリース(PR TIMES)、Automagicaのお知らせ(2025年12月17日)、ロココの有価証券報告書(2025年12月期・p7・p83・p96〜97)、ロココの2025年12月期 決算補足説明資料(p12)です(2026年11月5日確認)。
ロココが買収した目的
ロココの目的は、自社の取引先にAutomagicaのサービスを提供して売上を伸ばすことと、自社の労働集約型の業務をAIに置き換えることです。ロココの適時開示は、自社の事業を「エンジニアによる人的リソースを活用した労働集約型のビジネスが中心」と説明しています。
ロココの適時開示に書かれた目的
| 目的 | 内容(適時開示) |
|---|---|
| 1. 取引先への販売 | ロココの多くの取引先に、Automagicaのサービスを提供して売上を伸ばす |
| 2. 自社のサービスのAI化 | ITアウトソーシングのような労働集約型の業務をAI化し、売上を伸ばす機会をつくる。「ITヘルプデスク業務」「各種BPO業務」「票券管理業務」で、人材不足の補完・人材採用費の削減・応対品質の標準化を見込む |
| 3. 人事部への提案 | 勤怠管理システム「RocoTime」で取引のある人事部に、従業員からの問い合わせ対応へのAIの活用を提案する |
| 4. 社内業務のAI化 | 人事部・経理部の業務や各事業部の事務作業をAI化し、効率を上げる |
| 5. エンジニアの提供 | ロココのエンジニアを提供し、Automagicaの開発の体制を強める |
適時開示は、各事業領域へのAIの導入による効果を段階的に見ていくため、今回は70.03%を取得すると説明しています。Automagicaのプレスリリースは、ロココの「資本力・顧客基盤・営業パイプライン」と自社の「生成AI技術・開発力」を組み合わせると説明し、社名・ブランド名(カリスマAI)・事業内容は現時点で変える予定はないと記載しています。
ロココの目的は、Automagicaの開発力を、自社の取引先への販売と、自社のヘルプデスク・BPOの業務の両方に使うことです。Automagicaの側は、ロココの顧客基盤と営業の体制を挙げています。
出典はロココの適時開示(p1)、Automagicaのプレスリリース(2025年12月12日・PR TIMES)、ロココの有価証券報告書(2025年12月期・p96)です(2026年11月5日確認)。
買収後のAutomagicaとロココの業績
買収後のAutomagica単独の売上高と利益は開示されていません。開示されているのは、ロココの連結の業績と、Automagicaが入ったセグメントの説明です。Automagicaは、ロココのクラウドソリューション事業のセグメントに含まれています。
ロココの連結の業績
| ロココの決算期 | 売上高 | 営業利益 | Automagicaの取り込み |
|---|---|---|---|
| 2024年12月期 | 78.0億円 | 4.3億円 | なし |
| 2025年12月期 | 91.9億円 | 5.3億円 | 貸借対照表のみ |
| 2026年12月期 中間期 | 47.1億円 | 0.9億円 | 2026年1〜6月 |
| 2026年12月期 予想 | 103.0億円 | 6.1億円 | 通期 |
決算短信の金額は百万円未満を切り捨てた数字です(2024年12月期 売上高7,803百万円・営業利益426百万円、2025年12月期 9,189百万円・525百万円、2026年12月期 中間期 4,708百万円・94百万円、2026年12月期 予想 10,304百万円・610百万円)。2026年12月期の中間期の営業利益は、前年同期の265百万円から64.6%減りました。半期報告書は、販売費及び一般管理費が増えた要因の1つに「前年度に取得した子会社に係るのれん償却費」を挙げています。ロココの連結ののれん償却額は、前年同期の5,697千円から41,326千円に増えています。
クラウドソリューション事業の業績
| 期間 | 売上高 | セグメント利益 |
|---|---|---|
| 2025年12月期 中間期 | 13.8億円 | 1.1億円 |
| 2026年12月期 中間期 | 14.6億円 | 0.6億円 |
セグメントには、Automagicaのほか、ServiceNowの導入支援、勤怠管理システム「RocoTime」、システムの受託開発が含まれます。2026年12月期の半期報告書は、このセグメントについて「前年度に新規取得した子会社の生成AI事業が当セグメントの売上増加に大きく寄与しましたが、まだ安定した利益獲得には至らない中で、のれん償却費の負担もあり、損失を計上しました」と記載しています。
Automagicaの設立から取得後までの出来事
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2021年1月21日(木) | lilo株式会社として設立 | 公式サイト |
| 2024年2月 | 生成AI受託開発事業を開始 | 公式サイト |
| 2024年9月 | 株式会社Automagicaに社名変更 | 公式サイト |
| 2025年11月14日(金) | ロココが取締役会で取得を決議 | 適時開示 |
| 12月12日(金) | 株式譲渡契約を締結し、両社が発表 | 適時開示・PR TIMES |
| 12月24日(水) | ロココが70.03%の取得を完了 | 適時開示 |
| 2026年4月8日(水)〜10日(金) | ロココがJapan IT Week 春 2026に出展し、カリスマAIを出展品目の1つに | 決算補足説明資料 |
| 5月15日(金) | ロココが「生成AI会社『Automagica』がロココグループとして始動」と題し、「引き合い多数」と記載 | 決算補足説明資料 |
| 2026年6月 | AutomagicaがバックオフィスAIエージェント「カリスマAI」をリリース | 公式サイト |
| 2028年 | 残りの29.97%の取得を想定 | 適時開示 |
Automagica単独の業績は開示されていません。ロココの半期報告書は、生成AI事業がセグメントの売上を伸ばした一方、まだ安定した利益は出ておらず、のれん償却費の負担があると説明しています。
出典はロココの2025年12月期 決算短信(p1・p2)、ロココの半期報告書(2026年12月期・p4〜5・p15・p19〜20)、ロココの2026年12月期 第1四半期 決算補足説明資料(p21・p24)、同 第2四半期 決算短信補足説明資料(p9)です(2026年11月5日確認)。
AI受託で独立する人が参考にできる点
Automagicaの事例から個人の受託に取り入れられるのは、受託と並行して自社のサービスを持つことと、数字を説明できる形に整えることです。上場企業に買収された会社の事例のため、規模や条件は個人の受託と異なります。各項目の「事実」は開示資料と公式発表の記載、「参考(推論)」は事実をもとにした推論で、取引の条件や買い手の評価基準として開示されたものではありません。
1. 受託と並行して自社のサービスを持つ
| 事実 | 公式サイトの沿革によると、Automagicaは2024年2月に生成AIの受託開発を始め、2024年12月に「生成AI BPaaS」を開始しています。月額0円から30万円の料金を公開したバックオフィスAIエージェント「カリスマAI」のリリースは、取得後の2026年6月です。ロココは、ヘルプデスク・BPOの業務へのAIの活用を目的に挙げています。 |
|---|---|
| 参考(推論) | 受託の案件で繰り返し作る機能を、料金を決めたサービスにしておくと、受託の売上に加えて、買い手が自社の顧客に販売できるものを示せると考えられます。 |
2. 大手企業との実績を公開する
| 事実 | Automagicaの公式サイトは、伊藤忠テクノソリューションズ、日本通運などとの開発の実績インタビュー7件を掲載しています。 |
|---|---|
| 参考(推論) | 個人の受託でも、顧客の了承を得て実績を公開しておくと、発注を検討する企業や、将来の提携・売却の相手に、提供できる内容が伝わりやすいと考えられます。 |
3. 買い手の業務に当てはまる領域を選ぶ
| 事実 | カリスマAIは社内の問い合わせ対応と手続きの処理を自動化するサービスで、ロココの適時開示は、ITヘルプデスク・BPO・票券管理の業務と、人事部の問い合わせ対応へのAIの活用を目的に挙げています。 |
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| 参考(推論) | 扱う領域が、提携先や買い手の候補になる会社の主力の業務と重なっていると、その会社の業務にそのまま使える提案になると考えられます。 |
4. 月次の数字を締めて説明できるようにする
| 事実 | 適時開示のAutomagicaの業績は会計監査を受けていない数値で、2025年12月期は10月末時点の数字です。期間と算定の方法が異なるロココの有価証券報告書の概算額とは、営業損益の数字が異なっています。 |
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| 参考(推論) | 個人の事業でも、月ごとに売上と費用を締めておくと、売却や資金調達の検討のときに、期の途中の業績を数字で説明しやすくなると考えられます。 |
5. 一部を残して売却する形も知っておく
| 事実 | ロココは70.03%を取得し、経営陣が保有する残りの29.97%は2年経過後の2028年に取得することを想定しています。 |
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| 参考(推論) | 売却は全株式を一度に譲る形だけではありません。一部を持ったまま経営を続ける形を知っておくと、売却の条件を検討するときの選択肢が増えると考えられます。 |
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まとめ
ロココのAutomagica買収は、2024年に生成AIの受託開発を始めた会社を、上場企業が70.03%の取得で子会社にした事例です。ロココは目的として、取引先への販売と、自社の労働集約型の業務のAI化を挙げています。
- ロココは、Automagicaの株式の70.03%を3.4億円で取得し、2025年12月24日に取得を完了しました。残りの29.97%は2028年に取得することを想定しています。
- Automagicaの2024年12月期は、売上高1.1億円、営業利益340万円(営業利益率3.1%)です。
- 100%換算の株式価値は約4.9億円で、2024年12月期の売上高の約4.5倍です。営業利益の約143倍は、分母の営業利益が342万円と非常に小さいため、比較には使えません。
- のれんは3.56億円(暫定)で、5年で償却されます。取得後のAutomagica単独の業績は開示されていません。
- AI受託で独立する人は、受託と並行して自社のサービスを持つこと、実績を公開すること、買い手の業務に当てはまる領域を選ぶこと、月次の数字を締めること、一部を残して売却する形を知っておくことを取り入れられます。
よくある質問
ロココはAutomagicaをいくらで買収したのですか?
株式の70.03%(443,925株)を3.4億円(341,822千円)で取得しました。100%に換算した株式価値は約4.9億円です。有価証券報告書には、別にアドバイザリーに対する報酬等31,000千円が記載されています。
Automagicaの売上高と利益はいくらですか?
取得前の2024年12月期は、売上高1.1億円(108,844千円)、営業利益340万円(3,422千円)です。2025年12月期の10月末時点は、売上高2.1億円、営業利益0.1億円(会計監査を受けていない数値)です。取得後のAutomagica単独の業績は開示されていません。
残りの29.97%の株式はどうなるのですか?
ロココの適時開示は、経営陣が保有する残りの29.97%を、2年経過後の2028年に取得することを想定していると記載しています。取得の価格は開示されていません。
買収はいつ完了したのですか?
ロココの適時開示と有価証券報告書によると、2025年12月24日に株式の取得が完了しています。みなし取得日は2025年12月31日のため、Automagicaの損益は2026年12月期からロココの連結決算に含まれます。
Automagicaの買収の倍率は、ほかの買収と比べられますか?
売上高に対する倍率(約4.5倍)は、通期の数字で計算したAlmondo(約4.6倍)・Wanderlust(約4.1倍)・Acrosstudio(1.5倍)と同じ方法で計算しています。分母の2024年12月期は公表の約1年前に終わった期で、2025年12月期の通期の数字は開示されていません。営業利益に対する倍率(約143倍)は、分母の営業利益が342万円と非常に小さいため、比較には使えません。
この記事の事実は、2026年11月5日にロココの適時開示・有価証券報告書・半期報告書・決算短信・決算補足説明資料と、Automagicaの公式サイト・プレスリリースで確認しました。倍率と比率は、開示された数字から計算したものです。内容は新しい発表で変わることがあります。最新の情報は各社の公式サイトで確認してください(更新日:2026年11月5日・監修:株式会社AITECH CEO 小森谷 祐太)。




