AVILENのLangCore買収 4億円で100%を取得した生成AI受託開発会社の業績・倍率・買収後の動き【2026年11月】

更新日:著者:AITECH編集局

監修:株式会社AITECH CEO

小森谷 祐太

監修:株式会社AITECH

AITECH編集局

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設立から1年半に満たない生成AIの受託開発会社は、いくらで買収されるのでしょうか。AVILENは2024年10月11日、LangCoreの全株式を4.0億円で取得すると発表しました。

取得前の2024年6月の半期実績で、LangCoreの売上高は0.7億円、営業利益は0.5億円です。取得価額は、この半期実績の売上高の約5.4倍、営業利益の約8.7倍にあたります(半期実績ベース・年換算していない倍率)。

この記事では、設立1年余りの生成AIの受託開発会社がどの条件で売却されたかと、AI受託で独立する人が自分の事業に取り入れられる点が、開示資料から分かります。事実の出典は、AVILENの適時開示・有価証券報告書・決算説明資料とLangCoreの公式発表です(2026年11月5日確認)。ほかの事例はAI受託のM&A事例22件、ココナラのAcrosstudio買収、AI insideのWanderlust買収、テンダのAlmondo買収の記事にあります。

この記事の結論

  • AVILENのLangCore買収とは:AVILENが、LangCoreの全株式を4.0億円で取得し、子会社にした取引(2024年10月11日公表・有価証券報告書の取得日は10月29日)
  • LangCoreの業績:2024年6月の半期実績は、売上高0.7億円、営業利益0.5億円(利益率62.3%)。通期の業績は開示されていない
  • 取得価額の倍率:100%の取得のため株式価値は4.0億円で、半期実績の売上高の約5.4倍、営業利益の約8.7倍(半期実績ベース・年換算していない倍率で、通期の倍率とは比べられない)
  • 買収後の動き:LangCore単独の業績は非開示。コールセンター向けAIの協業、上場を条件とする新株予約権、2026年10月の代表者の交代が開示されている
  • 独立する人が参考にできる点:領域の絞り込み、提供の範囲と期間の明示、外部のエンジニアとの体制、最初の期からの利益、買い手に補ってほしいものの決定

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AVILENによるLangCore買収の概要

AVILENによるLangCore買収とは、AVILENがLangCoreの全株式を4.0億円で取得し、子会社にした取引です。AVILENの有価証券報告書によると、株式の取得は2024年10月29日に完了しています。

AVILENによるLangCore買収の概要。AVILENは、生成AIの受託開発会社LangCoreの株式をすべて取得し、子会社にした。取得した割合は100%、取得価額は4.0億円、株式の取得日は2024年10月29日。対価は現金。適時開示の取得予定日は2024年11月30日で、有価証券報告書の取得日は10月29日。AVILENは4.0億円で全株式を取得した
買い手株式会社AVILEN(東証グロース 5591)
対象会社株式会社LangCore(2023年6月設立)
公表日2024年10月11日(取締役会の決議・株式譲渡契約の締結)
取得割合100%(普通株式500,000株)
取得価額4.0億円(現金)。アドバイザリー費用等500万円を含めた合計は4.05億円
株式の取得日2024年10月29日(有価証券報告書)。2024年10月11日の適時開示では2024年11月30日(予定)
売り手北原 麦郎氏・高木 陽介氏(個人)

AVILENは、AIを搭載したソフトウエアの開発と、企業のAI人材の育成などデジタル組織の構築を支援するプログラムを提供する会社です。公表の前の期にあたる2023年12月期の売上高は9.3億円、営業利益は1.7億円でした。取得価額4.0億円は、AVILENの2023年12月期の営業利益の約2.3倍にあたります(4.0億円÷1.71億円)。

適時開示とは、上場会社が投資の判断に影響する情報を、証券取引所の仕組みで公表するものです。出典はAVILENの適時開示(2024年10月11日・p1〜3)、AVILENの有価証券報告書(2024年12月期・p24・p79)、AVILENの2023年12月期 決算短信(p1)です(2026年11月5日確認)。

LangCoreの会社概要と事業

LangCoreは、2023年6月に設立された、生成AIを使ったシステムの受託開発とAI活用のコンサルティングを行う会社です。AVILENの開示資料は、同社を「生成AI関連開発のエンジニア集団」と説明しています。

LangCoreの会社概要と事業。2023年6月設立。生成AIを使ったシステムの受託開発と、AIエージェントの構築を手がける。サービス1 生成AIシステム開発、サービス2 AIエージェント構築、サービス3 コールセンターAIエージェント(2026年11月5日の公式サイトの記載)。生成AIシステム開発は、期間1か月から・料金100万円から

株式会社LangCore

株式会社LangCoreの公式サイトのトップページ
出典:LangCore 公式サイト(https://corp.langcore.org/・2026年11月5日撮影)
会社名(設立)株式会社LangCore(2023年6月)
本社東京都中央区日本橋馬喰町(公式サイト・2026年11月5日確認)。2024年10月11日の適時開示と2025年12月期の有価証券報告書の記載は東京都江東区
代表者代表取締役CEO 乙川 浩志、代表取締役CTO 北原 麦郎(2026年10月1日から)
事業内容生成AI関連システム開発、AIエージェント構築・導入支援
資本金50万円
株主株式会社AVILEN 100%(公式サイトの会社情報)

LangCoreの発表によると、同社は北原 麦郎氏、高木 陽介氏ら5名が2023年に設立しました。取得の前の大株主は、北原氏(51.0%)と高木氏(49.0%)の2名です。AVILENの2024年11月の決算説明資料は、LangCoreの強みとして、少数の社内の体制に加えて「30名を超えるAI開発エンジニア(業務委託)によるリソース確保」を挙げています。

出典はLangCore 公式サイト、会社情報、グループ入りのお知らせ(2024年10月15日)、AVILENの適時開示(p2)、AVILENの2024年12月期 第3四半期 決算説明資料(p43)です(2026年11月5日確認)。

LangCoreの経営陣の変化

AVILENの2025年12月期の有価証券報告書は、AVILENの代表取締役の高橋 光太郎氏と取締役CSOの錦 拓男氏が2024年10月にLangCoreの取締役に就任したと記載し、LangCoreとの役員の兼任を2名としています。取得を発表した2024年10月11日のLangCoreのプレスリリースは、AVILENの3名がLangCoreの取締役に就任する予定と記載していました。

LangCoreの代表者の記載は、資料ごとに次のとおりです。

資料(日付)LangCoreの代表者の記載
AVILENの適時開示(2024年10月11日)代表取締役 北原 麦郎
LangCoreのプレスリリース(2024年10月11日)代表取締役 高木 陽介・北原 麦郎。取得後も2名が代表取締役を続けると記載
AVILENの発表(2025年5月15日)代表取締役 北原 麦郎
AVILENの公式note(2025年10月29日)共同代表取締役CEO 兼 CTO 北原 麦郎、共同代表取締役CEO 兼 COO 高木 陽介
AVILENの適時開示(2026年9月29日)代表取締役 高木 陽介氏が9月30日に退任。10月1日から、AVILENのCEO室の乙川 浩志氏が代表取締役CEO、北原 麦郎氏が代表取締役CTO
LangCoreの公式サイト(2026年11月5日確認)代表取締役CEO 乙川 浩志、代表取締役CTO 北原 麦郎、取締役COO 井上 直哉

2026年9月29日の適時開示は、交代の理由を、CEOが経営全般を、CTOが技術戦略を主導する体制に移り、意思決定と業務執行を速めるためと説明しています。

LangCoreが提供しているサービス

LangCoreの公式サイトは、現在のサービスとして次の3つを挙げています(2026年11月5日確認)。

サービス内容(LangCoreの公式サイト)
LangCore First Deploy(生成AIシステム開発)PoC(本番の前に効果を試す検証)や画面の見本ではなく、現場で使える最初の版のシステムを作る。開発期間は1か月から、料金の目安は100万円から
LangCore Agent Deploy(AIエージェント構築)メール・PDF・Excel・CRM・基幹システムをまたぐ確認・転記・照合・下書きの業務を、AIエージェントで自動化する。最後の確定は人が行う設計
LangCore Operator(コールセンターAIエージェント)電話の問い合わせの受付・案内・要約・システムへの記録・有人への引き継ぎを支援する

取得を発表した2024年10月11日のプレスリリースでは、サービスは「生成AIを組み込んだwebアプリケーションの開発」「生成AIを活用した業務改善・DXコンサルティング」「生成AIの活用研修」の3つでした。公式サイトの導入事例には、新規事業のプロダクト開発、転職支援サービスの開発、飲食店向けの音声注文のボイスボットなど、7件が掲載されています。

LangCoreは、生成AIシステムの開発を「期間1か月から・料金100万円から」と、提供の範囲と目安の料金を決めて示しています。2024年10月のプレスリリースのサービスになかったコールセンター向けのAIエージェントが、現在は3つのサービスの1つです。

出典はLangCoreのサービス、LangCore First Deploy、導入事例、LangCoreのプレスリリース(2024年10月11日・PR TIMES)、AVILENの有価証券報告書(2025年12月期・p12・p56〜57)、AVILENの発表(2025年5月15日)、AVILENの公式note(2025年10月29日)、AVILENの適時開示(2026年9月29日)です(2026年11月5日確認)。

買収前のLangCoreの業績

LangCoreの2024年6月の半期実績は、売上高0.7億円、営業利益0.5億円で、営業利益率は62.3%です。設立した期の2023年12月期は、2023年6月から12月までの約7か月で売上高0.1億円でした。

買収前のLangCoreの業績。営業利益率は2023年12月期(約7か月・売上高0.1億円・営業利益690万円)54.3%、2024年6月の半期実績(売上高0.7億円・営業利益0.5億円)62.3%。開示資料の金額は千円単位。2024年6月の半期実績の営業利益率は62.3%

AVILENの開示資料に記載された、設立以来の2つの期間の経営成績と財政状態です。

項目2023年12月期(約7か月)2024年6月(半期実績)
売上高0.1億円0.7億円
営業利益690万円0.5億円
経常利益690万円0.5億円
当期純利益690万円0.5億円
純資産790万円0.5億円
総資産790万円0.7億円

開示資料の金額は千円単位です。2024年6月の半期実績は、売上高73,819千円、営業利益45,996千円、経常利益45,953千円、当期純利益45,294千円、純資産53,194千円、総資産67,571千円です。2023年12月期は売上高12,711千円、営業利益6,898千円、純資産7,900千円です。適時開示の表の見出しは「2024年6月(半期実績)」、2024年11月の決算説明資料の見出しは「2024年12月期 半期実績」(未監査)で、2024年12月期の通期の数字は開示されていません。出典はAVILENの適時開示(p2)、AVILENの2024年12月期 第3四半期 決算説明資料(p42)です(2026年11月5日確認)。

開示された数字から計算した利益率と自己資本比率です。営業利益率=営業利益÷売上高、自己資本比率=純資産÷総資産です。

指標2023年12月期2024年6月(半期実績)
営業利益率54.3%62.3%
自己資本比率100.0%78.7%

2023年12月期は2023年6月の設立から12月までの約7か月、2024年6月の数字は半期実績で、期間の長さが異なります。AVILENの2024年11月の決算説明資料は、LangCoreを「2023年6月の設立で既に黒字化、高利益率を生み出す収益構造」と説明しています。

2024年6月の半期実績の営業利益率は62.3%です。同じ式で計算したAlmondo(23.1%)、Wanderlust(12.9%)、Acrosstudio(4.1%)より高い利益率です。ただし、ほかの3社は通期の数字です。

取得価額から計算した倍率

100%の取得のため、取得価額4.0億円がそのまま株式価値で、2024年6月の半期実績の売上高の約5.4倍、営業利益の約8.7倍です(半期実績ベース・年換算していない倍率)。

取得価額から計算した倍率(半期実績ベース・年換算していない)。取得価額4.0億円÷取得割合100%=100%換算の株式価値4.0億円。4.0億円を2024年6月の半期実績で割ると、売上高0.74億円の約5.4倍、営業利益0.46億円の約8.7倍、純資産0.53億円の約7.5倍。年換算していない半期の数字のため、通期の数字で計算した倍率とは比べられない。4.0億円は半期実績の売上高の約5.4倍・営業利益の約8.7倍

100%換算の株式価値とは、取得した割合に払った金額から、会社の株式全体の値段を計算したものです。今回は100%の取得のため、取得価額と同じ4.0億円です。開示された半期実績で計算した倍率は次のとおりです。

指標計算式結果
100%換算の株式価値4.0億円÷100%4.0億円
対売上高(半期実績)4.0億円÷0.74億円約5.4倍
対営業利益(半期実績)4.0億円÷0.46億円約8.7倍
対経常利益(半期実績)4.0億円÷0.46億円約8.7倍
対純資産(2024年6月末)4.0億円÷0.53億円約7.5倍

分母は2024年6月の半期実績(純資産は2024年6月末)で、年換算していない数字です。分母が半期の数字のため、通期の数字で計算した倍率とは比べられません。2024年12月期の通期の業績は開示されていません。100%換算の値は株式の価値で、負債や現預金を調整した企業価値ではありません。適時開示には「本売主との協議・交渉を経て本件買収の対価を最終決定しております」と書かれています。

出典はAVILENの適時開示(p2〜3)です(2026年11月5日確認)。

Almondo・Wanderlust・Acrosstudioの買収との比較

AIの受託開発・コンサルの会社の買収で、取得価額と対象会社の業績が開示された事例のうち、Almondo・Wanderlust・Acrosstudioの3件と比べると、次のとおりです。3件の倍率は通期の数字で計算したもので、通期の業績が開示されていないLangCoreには、同じ条件の倍率はありません。

対象会社(買い手)対売上高対営業利益
LangCore(AVILEN)算出せず(通期の開示なし)算出せず(通期の開示なし)
Almondo(テンダ)約4.6倍約20倍
Wanderlust(AI inside)約4.1倍約32倍
Acrosstudio(ココナラ)1.5倍約37倍
対象会社(公表日)100%換算(取得割合)分母の期間(営業利益率)
LangCore(2024年10月11日)4.0億円(100%)2024年6月の半期実績(62.3%)
Almondo(2024年12月19日)10.0億円(51%)2024年9月期(23.1%)
Wanderlust(2026年9月30日)10.0億円(70.0%)2026年3月期(12.9%)
Acrosstudio(2026年10月7日)17.0億円(51%)2026年6月期(4.1%)

設立から公表までの期間は、LangCoreが約1年4か月、Almondoが約1年10か月、Wanderlustが約3年8か月、Acrosstudioが約5年3か月です。4件の公表の時期は、最大で約2年離れています。出典は各社の適時開示で、ほかの3件の計算の詳細はテンダのAlmondo買収、AI insideのWanderlust買収、ココナラのAcrosstudio買収の記事にあります。

4件のうち、LangCoreは100%換算の株式価値が4.0億円で最も小さく、取得割合は唯一の100%です。通期の業績が開示されていないため、売上高や営業利益に対する倍率はほかの3件と比べられません。

100%の取得と取引の条件

AVILENは、創業者2名から発行済株式の100%(500,000株)を現金4.0億円で取得し、2024年10月29日にLangCoreを子会社にしました。

100%の取得と取引の条件。AVILENは、創業者2名から全株式を現金で取得した。取得は100%を4.0億円、相手先は創業者2名(51%・49%)、のれんは3.55億円(7年で償却)。アドバイザリー費用等は500万円、資金は金融機関からの借入れと自己資金。取得価額4.0億円の約89%が、のれんとして計上された
取得前の保有0株(0%)
取得した株式普通株式500,000株(議決権の100%)
取得価額4.0億円(現金)
アドバイザリー費用等500万円(適時開示・有価証券報告書とも同じ金額)
取得前の大株主北原 麦郎氏 51.0%、高木 陽介氏 49.0%
支払いの資金金融機関からの借入れと自己資金
日程2024年10月11日 取締役会の決議・株式譲渡契約の締結、10月29日 株式の取得
連結の開始2024年10月1日から(みなし取得日)

株式の取得の相手先は、北原 麦郎氏と高木 陽介氏の2名です。株式の取得の日付は、資料ごとに次のとおり記載されています。

資料(日付)記載
AVILENの適時開示(2024年10月11日)株式譲渡実行日 2024年11月30日(予定)
LangCoreのプレスリリース(2024年10月11日)2024年10月11日よりAVILENグループに子会社として参画
AVILENの第3四半期決算短信(2024年11月14日)2024年10月29日付で株式を取得し子会社化
AVILENの有価証券報告書(2024年12月期・2025年3月提出)2024年10月29日付で株式の取得が完了。企業結合日 2024年10月29日、みなし取得日 2024年10月1日

AVILENの2024年12月期の決算短信は、LangCoreの株式取得に係る短期借入金の増加額を4.0億円と記載しています。この借入金は、2025年12月期に長期借入金に借り換えられています。

のれんの金額と償却

のれんとは、買収で払った金額のうち、買収した会社の純資産を上回る部分です。AVILENは、LangCoreの取得で発生したのれんを7年間で均等に償却しています。

発生したのれん3.55億円(355,383千円)
発生の原因「今後の事業展開によって期待される超過収益力」
償却の期間7年間(年0.5億円)
2024年12月期末の残高3.43億円
2025年12月期末の残高2.92億円
2026年6月末の残高2.67億円

企業結合日に受け入れた資産は1.07億円、負債は0.63億円で、純資産は約0.45億円です。のれん3.55億円は、取得価額4.0億円の約89%にあたります。AVILENの2024年12月期の決算説明資料は、計画外の費用として、財務調査などのアドバイザリー費用0.05億円と、のれんの償却費0.12億円(2024年10〜12月分)を示しています。2025年12月期の有価証券報告書は、事業の状況によっては、のれんの減損損失が発生するリスクを挙げています。

出典はAVILENの適時開示(p2〜3)、2024年12月期 第3四半期 決算短信(重要な後発事象)、AVILENの有価証券報告書(2024年12月期・p79)、同(2025年12月期・p18・p22・p72)、2024年12月期 決算短信(p4〜6)、2024年12月期 通期決算説明資料(p8)、2026年12月期 第2四半期 決算短信(p6)です(2026年11月5日確認)。

AVILENが買収した目的

AVILENの目的は、LangCoreと早期にシナジーを生み、両社の短期的な収益向上と中長期的な事業拡大を実現することです。AVILENは2024年7月から、既存の取引先との取引の拡大、AIソリューションの新しいパッケージの開発、M&Aに注力していました。

AVILENが買収した目的。AVILENが持つもの:780社を超える顧客基盤(主に大企業)、AI技術者のコミュニティ「DS-Hub」(237名)。LangCoreが加えるもの:生成AIの開発の技術力・ノウハウ、課題の特定からアプリ開発までの一貫提供。AVILENが開発を提供できていない中小企業にも、LangCoreの開発を届ける

AVILENの開示資料に書かれたシナジー

適時開示は、想定されるシナジーとして次の4つを挙げています。

シナジー内容(適時開示)
1. AVILENの生成AIの技術力の向上と開発案件の拡大LangCoreの生成AI関連の開発の技術力とノウハウを、AVILENで活用する
2. AVILENの顧客基盤によるLangCoreの成長主に大企業向けに開発してきたAVILENが、まだ開発を提供できていない中小企業に、LangCoreの開発を提供する。AVILENの顧客基盤は780社超
3. 生成AI SaaSの新規開発業界・業務に共通する課題に対し、業界や業務に特化した生成AIのSaaSを開発し、資本業務提携先と販売する
4. DS-HubによるLangCoreの開発体制の強化AVILENのAI技術者のコミュニティ「DS-Hub」(2023年12月末時点で237名)をLangCoreが活用する

両社が公式noteで語った買収の理由

AVILENが2025年10月29日に公式noteで公開した対談で、AVILENの高橋氏は、LangCoreに一度仕事を依頼したときの「アウトプットのスピード」と、ボイスボットの領域を組み合わせられると考えて買収を提案したと話しています。LangCoreの北原氏は、決め手を「カルチャーが合う」ことと、自社の課題だった「営業力と顧客基盤の弱さを、AVILENが補完してくれる」ことの2点だと話しています。北原氏は、ほかにも有力な買い手の候補があったと話しています。

AVILENが挙げた目的は、自社の顧客基盤にLangCoreの開発力を届けることです。LangCoreの側も、自社に不足していた営業力と顧客基盤を、買い手を選ぶ理由に挙げています。

対談の発言は、AVILENが自社の公式noteで公開した記事からの引用で、開示資料の記載ではありません。出典はAVILENの適時開示(p1)、AVILENの公式note(2025年10月29日)です(2026年11月5日確認)。AVILENの2025年12月期の通期決算説明資料(p45)も、この対談の記事を紹介しています。

買収後のLangCoreと協業

買収後のLangCore単独の売上高と利益は開示されていません。開示されているのは、両社の協業の案件と、LangCoreの経営体制の変化です。AVILENは、AIソリューション事業の単一セグメントで決算を開示しています。

買収後のLangCoreと協業。LangCore単独の売上高・利益は開示されていない。2024年10月 株式を取得し子会社にする、2024年12月 大塚商会とボイスボットの共同検証、2025年5月 LangCoreの役員・従業員に新株予約権、2026年10月 代表取締役CEO・CTOの体制に移行。新株予約権の権利行使の条件には、LangCoreの株式の上場が含まれる。買収後は、コールセンターのAIで両社の協業が進んだ

AVILENの連結の業績

AVILENの決算期売上高営業利益LangCoreの取り込み
2023年12月期9.3億円1.7億円なし(単体)
2024年12月期12.4億円1.9億円2024年10〜12月
2025年12月期16.7億円2.7億円通期

決算短信の金額は百万円未満を切り捨てた数字です(2023年12月期 売上高929百万円・営業利益171百万円、2024年12月期 1,241百万円・189百万円、2025年12月期 1,672百万円・274百万円)。2023年12月期はAVILEN単体、2024年12月期からはLangCoreを含む連結の数字です。増加のうちLangCoreの分の金額は開示されていません。AVILENの決算説明資料は、2025年12月期の増収・増益の要因の1つに「LangCore社の連結決算による貢献(当期は通期ベースで損益取り込み)」を挙げています。

AVILENとLangCoreの協業の案件

発表日内容出典
2024年12月25日(水)大塚商会と、LangCoreの「LangCoreボイスボット」を中心に、自然な音声対話をするAIエージェントの実用化の共同検証を開始AVILENの発表
2025年2月14日(金)大手証券会社のコールセンターで、LangCoreのボイスボットの技術を使ったAIオペレーターが月約3,000件の問い合わせに自動で応対決算説明資料
2025年5月15日(木)京都市の実証実験で、LangCoreが技術を提供し、持ち込みごみの問い合わせに答えるAIボイスボットを検証AVILENの発表
2026年2月13日(金)「LangCoreのプロダクト×AVILENのAIX推進力」でAIコールセンターの案件を受注したと記載決算説明資料

LangCoreの役員・従業員への新株予約権

LangCoreは2025年5月23日、取締役3名と従業員3名に、LangCore株式89,070株分の新株予約権(ストック・オプション)を付与しました。権利行使の価格は1株800円で、取得の1株あたりの価格(4.0億円÷500,000株=800円)と同じです。権利を確定する条件は、2027年5月24日まで勤務を続けることと、LangCoreの普通株式が国内の金融商品取引所に上場されていることです。

AVILENの公式noteの対談(2025年10月29日)で、北原氏は今後の一番の目標に、LangCoreの上場を挙げています。

LangCore単独の業績は開示されていませんが、新株予約権の条件には、LangCore自体の株式の上場が含まれています。100%子会社になった後も、LangCoreの取締役と従業員の報酬に、上場という条件が設定されています。

設立から現在までの経緯

日付出来事出典
2023年6月LangCoreを設立適時開示
2024年10月11日(金)AVILENが取得を決議し、両社が発表適時開示・PR TIMES
10月29日(火)AVILENが株式を取得有価証券報告書
12月25日(水)大塚商会とボイスボットの共同検証を開始AVILENの発表
2025年5月23日(金)LangCoreの役員・従業員に新株予約権を付与有価証券報告書
10月29日(水)AVILENが公式noteで両社の対談を公開AVILENの公式note
2026年10月1日(木)代表取締役CEO 乙川 浩志氏・代表取締役CTO 北原 麦郎氏の体制に移行適時開示

出典は2023年12月期 決算短信(p1)、2024年12月期 決算短信(p1)、2025年12月期 決算短信(p1)、2024年12月期 通期決算説明資料(p33)、2025年12月期 通期決算説明資料(p7・p9)、AVILENの発表(2024年12月25日)、AVILENの発表(2025年5月15日)、AVILENの有価証券報告書(2025年12月期・p81・p83〜84)、AVILENの適時開示(2026年9月29日)、AVILENの公式note(2025年10月29日)です(2026年11月5日確認)。

AI受託で独立する人が参考にできる点

LangCoreの事例から個人の受託に取り入れられるのは、扱う領域の絞り方と、少人数での提供体制の組み方です。上場企業に買収された会社の事例のため、規模や条件は個人の受託と異なります。各項目の「事実」は開示資料と公式発表の記載、「参考(推論)」は事実をもとにした推論で、取引の条件や買い手の評価基準として開示されたものではありません。

AI受託で独立する人が参考にできる点。1 扱う領域を1つに絞る、2 提供の範囲と期間を決めて示す、3 外部のエンジニアと提供体制を組む、4 設立した期から利益を出す、5 買い手に補ってほしいものを決めておく。各項目は開示された事実からの推論で、取引の条件ではない。5つの点は、個人で独立した時点から取り入れられる

1. 扱う領域を1つに絞る

事実北原氏はAVILENの公式noteで、LangCoreの特徴の1つ目に「ドメイン特化」を挙げ、特にAIコールセンターに注力していると話しています。AVILENの高橋氏も、ボイスボットの領域を買収を提案した理由に挙げています。
参考(推論)独立直後の個人も、扱う領域を「電話の問い合わせ対応のAI」のように1つに絞ると、実績と提案の内容がそろい、発注する側に違いが伝わりやすいと考えられます。

2. 提供の範囲と期間を決めて示す

事実LangCoreは生成AIシステムの開発を、現場で使える最初の版を作るサービスとして、開発期間は1か月から、料金の目安は100万円からと公式サイトに示しています。
参考(推論)個人の受託でも、最初に納品する範囲・期間・料金の目安を決めて示しておくと、見積もりの手間が減り、発注する側が依頼を判断しやすくなると考えられます。

3. 外部のエンジニアと提供体制を組む

事実LangCoreは5名で設立され、AVILENの資料は、少数の社内の体制に加えて「30名を超えるAI開発エンジニア(業務委託)」を確保していることを強みに挙げています。
参考(推論)個人で受託するときも、業務委託で協力してくれるエンジニアを確保しておくと、自分1人の作業量を超える案件を受けられると考えられます。

4. 設立した期から利益を出す

事実LangCoreは設立した期(約7か月)から営業利益を出しており、2024年6月の半期実績の営業利益率は62.3%です。AVILENの決算説明資料は、LangCoreを「2023年6月の設立で既に黒字化、高利益率を生み出す収益構造」と説明しています。
参考(推論)売上の規模が小さくても、最初の期から営業利益が出ていると、売却を検討するときに事業の収益性を数字で説明しやすくなると考えられます。

5. 買い手に補ってほしいものを決めておく

事実北原氏は、買い手を選んだ理由の1つに、自社の課題だった営業力と顧客基盤をAVILENが補うことを挙げています。取得後は、AVILENと組んだ案件として、大塚商会との共同検証や、大手証券会社のコールセンターの事例が発表されています。
参考(推論)自分の事業に足りないもの(営業・顧客・管理など)を言葉にしておくと、業務提携や売却の相手を選ぶときの基準になると考えられます。

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まとめ

AVILENのLangCore買収は、設立から1年4か月の生成AIの受託開発会社を、上場企業が全株式の取得で子会社にした事例です。AVILENは目的として、早期のシナジーによる両社の収益向上と事業拡大を挙げています。

AVILENのLangCore買収の要点。AVILENは、設立から1年4か月の生成AIの受託開発会社を4.0億円で子会社にした。取引:100%を4.0億円で取得。取得前:半期実績の営業利益率62.3%。取得後:のれん償却 年0.5億円。取得後のLangCore単独の業績は開示されていない。取得前の半期実績の営業利益率は62.3%だった
  • AVILENは、LangCoreの全株式を4.0億円で取得し、2024年10月29日に子会社にしました。
  • LangCoreの2024年6月の半期実績は、売上高0.7億円、営業利益率62.3%です。
  • 取得価額は、半期実績の売上高の約5.4倍、営業利益の約8.7倍です(半期実績ベース・年換算していない倍率)。通期の数字で計算した倍率とは比べられません。
  • のれんは3.55億円で、7年で償却されています。取得後のLangCore単独の業績は開示されていません。
  • AI受託で独立する人は、領域を1つに絞ること、提供の範囲と期間を示すこと、外部のエンジニアと体制を組むこと、最初の期から利益を出すこと、買い手に補ってほしいものを決めておくことを取り入れられます。

よくある質問

AVILENはLangCoreをいくらで買収したのですか?

全株式(500,000株)を4.0億円(400,000千円)で取得しました。アドバイザリー費用等の500万円を含めた合計は4.05億円です。

LangCoreの売上高と利益はいくらですか?

取得前の2024年6月の半期実績は、売上高0.7億円(73,819千円)、営業利益0.5億円(45,996千円)です。通期の業績と、取得後のLangCore単独の業績は開示されていません。

買収はいつ完了したのですか?

AVILENの有価証券報告書によると、2024年10月29日に株式の取得が完了しています。2024年10月11日の適時開示では、株式譲渡の実行日は2024年11月30日(予定)でした。LangCoreの業績は、2024年10月1日からAVILENの連結決算に含まれています。

LangCoreは今も創業者が経営しているのですか?

2026年10月1日から、AVILENのCEO室に所属していた乙川 浩志氏が代表取締役CEO、創業者の北原 麦郎氏が代表取締役CTOです。同じく創業者の高木 陽介氏は、2026年9月30日に代表取締役を退任しました。

LangCoreの買収の倍率は、ほかの買収と比べられますか?

売上高や営業利益に対する倍率は、通期の数字で計算したほかの買収とは比べられません。適時開示に記載されたLangCoreの業績は、約7か月の2023年12月期と、2024年6月の半期実績の2つだけです。この記事の倍率(売上高の約5.4倍・営業利益の約8.7倍)は、半期実績ベース・年換算していない倍率です。

この記事の事実は、2026年11月5日にAVILENの適時開示・有価証券報告書・決算短信・決算説明資料・公式noteと、LangCoreの公式サイト・プレスリリースで確認しました。倍率と比率は、開示された数字から計算したものです。内容は新しい発表で変わることがあります。最新の情報は各社の公式サイトで確認してください(更新日:2026年11月5日・監修:株式会社AITECH CEO 小森谷 祐太)。

この記事の監修者

株式会社AITECH CEO

小森谷 祐太

新卒でSEとしてキャリアをスタート。エンジニア育成スクール「COACH TECH」の認定講師を務める。2025年に株式会社AITECHを創業し、CEOに就任。法人向けAI研修、AIエージェント開発、業務自動化支援を行う。AIコンサルタント養成スクール「COACH AI」を運営。

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AIエージェントの構築・業務自動化の支援、法人向けAI研修、AIコンサルタント養成スクール「COACH AI」の運営を行う株式会社AITECHの編集局。

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